精神科臨床評価マニュアル 臨床精神医学1999年12月増刊号 185-194
性機能不全の臨床評価手段


針間克己
はじめに
 近年におけるセックスセラピー、マリタルセラピー、薬物療法、およびそれらの統合を通じて展開された性機能不全の治療の進歩はめざましいものがある。しかし、それに比し、性機能不全が客観的に評価されることは乏しいといわれてきた。その理由の第一には、性機能不全の一致した臨床評価を得ることの困難さがあった。性機能不全の病像は変化しやすく重なりやすい。例えば、射精不全の患者が、勃起障害を併発し、最終的には性的欲求低下を来すことは希ではない。女性の性機能不全では、確定診断が困難で、治療者間の診断のぶれも大きい。患者治療者関係などの面接状況によって、得られる面接情報や生理学的検査所見も異なることがある。さらに、患者やパートナーそれぞれから得られる情報が大きく食い違うこともよく経験するところである。これらのことより、一致した評価を得るのは容易なことではない。理由の第二は評価の対象となる事項が多岐に渡ることであった。性機能不全は、性の持つ多様な要素を反映し、評価の対象となりうるさまざまな側面を持つ。心理的、行動的、生理的側面または、個人的、二者関係的側面があり、患者あるいは治療者の問題意識の持ち方により、その評価対象の事項は異なる。これらの理由により、性機能不全への客観的評価が従来妨げられてきたが、より厳密な方法によりデータを評価しようとする研究者の意識の高まりや、薬理効果を客観的に呈示する必要性等により、最近では客観的評価を得るためのさまざまな手段が提唱、開発されてきている。日本では一般化された臨床評価手段を用いた研究は乏しいので、本稿では英語文献で広く用いられている代表的なものや歴史的に重要と思われるものを中心に、以下、その方法、評価対象事項別に紹介することとする。

1.面接法
 性機能不全患者に対する面接は、現在までMasters & JohnsonおよびKaplanの業績に負うところが大きい。Masters & Johnsonは1970年にその著書Human Sexual Inadequacy(邦題:人間の性不全)24)の中で、診断および評価のための構造化された面接を具体的質問文をあげ、詳細に示している。Kaplanもその著書The Evaluation of Sexual Disorders20)の中で、構造化された面接を疾患ごとのフローチャートとともに詳細に記している。しかし、いずれの面接でも数量化されるデータは得られず、計量的評価手段とはなり得ない。計量的評価が可能な面接法である Derogatis Interview for Sexual Functioning (DISF/DISF-SR)(Q,IS)12)については後述する。
 
2.質問紙法
 質問紙による臨床評価は多くのものが開発されている。その評価の対象事項別に代表的なものを示す。

1)一次元的に進展する性経験
 人間の性経験が一次元的に進展する、すなわち、例えばキスを経験した後に愛撫を経験し、さらにその後に愛撫を経験する、といった前提に基づいた質問紙がいくつか開発されてきた5,6,7,30,41)。
 代表的なものとしては、1968年にBentlerが異性愛の大学生男女の性経験調査に基づいて開発したBentler尺度(Q)5,6)がある。Bentler尺度は「一分間の連続したキス」から「相互に絶頂に達するまでの相互の口唇による外性器愛撫」に至るまでの21項目それぞれの性経験の有無を質問することで性経験の度合いを評価している。Bentlerはこの尺度は治療効果の臨床的評価に有用であると述べているが、この尺度は、性行動の頻度、性機能の適切さ、性的満足度などは評価していないという欠点があった。Bentlr尺度などの一次元的な性経験評価尺度は、歴史的には臨床評価手段としてではなく、性障害治療における系統的脱感作法の段階作りの基盤となり、性経験の疫学的調査の手段として有用であった二点において意味を持つであろう。

2)広範な性機能
 性反応に限定せずよりさまざまな個人の性機能を評価するいくつかの手段がある。
 個人の性的体験を評価するための初期の代表的手段として、Sex Inventory(SI)(Q)38)が挙げられる。SIは1966年にThorneによって、性的犯罪者の性的体験を評価する目的で開発されたが、その広範な評価項目は、性的犯罪者以外の一般の人に対する評価も可能にし、後に開発される臨床評価手段に影響を与えることとなった9)。SIは154の直接的な質問と46の投影的な質問の計200の質問を含み、およそ20づつの質問から評価される9の領域(性的欲求と関心、性的不適応と欲求不満、性に関する神経症的葛藤、性的固着とカテクシス、性的抑圧、性的制御の喪失、同性愛、性役割への自信、乱交)により構成される。
 Sexual Interest Questionnaire(SIQ)(Q)17)は、性的な態度、関心を評価する目的でHarbisonにより1974年に考案された。SIQはキスすること、キスされること、愛撫すること、愛撫されること、性交、という性的な五つの状況において、魅惑的か嫌悪的か、性的か非性的か、刺激的か非刺激的か、性感的か不感的かの四側面を評価する。SIQは同性愛者、異性愛者の両者に対して、治療経過における性的態度の変化の評価に有用とされてきた。欠点として、評価される性行動が限定されていることや、採点方法が難解な点などが指摘されている9)。
 Derogatis Sexual Functioning Index (DSFI)(Q)11) は個人の総合的な性機能を評価する代表的なもので、Derogatisにより1970年代後半に開発された。258項目からなり、性機能に関する10領域(情報、経験、欲求、態度、精神症状、愛情、性役割への自信、性的空想、身体イメージ、性的満足)を評価する。領域ごとの得点はいったん標準化され、その総計が、個人の全体的な性機能を示すSexual Functioning Index(SFI)として示される。Conte9)はDSFIは男性、女性、カップル、異性愛者、同性愛者、性同一性障害者などの幅広いものの性機能を評価するのに役立ち、臨床的妥当性・信頼性を有するが、短所として質問の量が多いことや、質問のいくつかが難解なことを指摘している。
 このDSFIは多くの研究者により、広範に用いられてきたが、1997年にDerogatisはその後の性科学の知見の蓄積をふまえかつ、より臨床上の有用性が高く簡便な臨床評価手段として、新たにDerogatis Interview for Sexual Functioning (DISF/DISF-SR)(Q,IS)12)を開発した。質問紙法、面接法それぞれにおいて、より評価しやすいものがいることより、質問紙(DISF-SR)、半構造化面接(DISF)のそれぞれが用意されている。また、性別、性指向の違いを考慮し、男女それぞれのDISF/DISF-SR、および性指向に関わる質問を含まない男性総合版(DISF-MG)、女性総合版(DISF-FG)がある。DISF/DISF-SRの全ての版は25項目により構成され、それぞれ4-6項目からなる5領域(性的認知と空想、性的興奮、性的行動と経験、オルガズム、性的欲求と関係性)に分かれる。それぞれの項目は頻度の9段階ないしは、満足度の5段階に分かれ得点され、項目ごとの得点、領域ごとの合計得点、総得点の3段階に渡って評価される。

3)性反応
 欲求相、興奮相、オルガズム相といった性反応の各段階のそれぞれ、および全段階を評価の目的の主眼とした臨床評価手段がいくつか開発されている。
 男女それぞれの性反応全般を簡便に評価し、信頼性、妥当性のある臨床評価手段の確立を、Grick16)がCMASH SFQ1)をもとに試みている。CMASH SFQすなわちCenter for Marital and Sexual Health Sexual Functioning Questionnaire(Q)は、1985年にAlthofらにより、パパベリンとフェントラミンの陰茎海綿体への投与研究の評価手段として開発され、21の質問項目からなり、患者およびパートナーの性機能、夫婦機能を評価する。Grickの研究では、その質問項目から患者およびパートナーの性機能を反映し、その臨床状態の評価に有用な10項目が抽出され、その10項目はそれぞれの項目間の相関関係の高さが示される4領域(頻度、勃起、オルガズム、満足)に分類された。この4領域は、性の四相概念を反映し、DSM-IVの診断基準とも対応するとGrickは述べている。
 Arizona Sexual Experience Scale(ASEX)(Q)26)は、MacGahueyらにより男女それぞれの性反応を評価する手段として1997年に開発され、その後、SSRIの性反応に与える影響の研究などで用いられている。ASEXは5項目(性的欲求、心理的興奮、生理的興奮、オルガズムの達しやすさ、オルガズムへの満足)を5段階に得点し、高得点ほど障害が高いことを示す。
 男性性機能不全を評価する手段としてGeisserにより1991年に開発されたFlorida Sexual History Questionnaire(FSHQ)(Q)14)がある。FSHQは、欲求、勃起、射精、満足に関する20の質問からなり、それぞれの質問は、6段階の答えにて評価される。Geiによれば、FSHQの質問項目のいくつかは生理学的検査所見と高い相関関係を示すが、心因性勃起障害と器質性勃起障害患者間のFSHQの結果における有意な違いは見いだせなかった。
 女性の性機能を評価する手段として1976年にHoonらによって開発されたのが、Sexual Arousability Inventory(SAI)(Q)19)である。Hoonは従来あった性機能の臨床評価手段は、女性の性機能不全に対しては不適当であるとし、簡便に、性指向や実際のパートナーの有無に関わりなく女性の性的興奮を測定可能とするする手段として、SAIを提唱した。SAIは「パートナーが口唇を用いて性器を刺激するとき」「パートナーが手を用いて胸を愛撫するとき」「パートナーの裸体を見るとき」「パートナーと共に踊るとき」などの28の場面において「実際にその場面になったときにどのように感じると思いますか」との質問がなされる。その答えによって5点(いつも性的興奮を引き起こす)から−1点(性的興奮を阻害する)の7段階に得点され、総得点(最高126点)で評価される。Conte9)はSAIの臨床的有用性を認めながらも、この評価尺度が現在の性機能を直接に測定してないことを問題点として指摘している。欲求相の発見というその後の性反応理解の進展に基づいて見直すならば、SAIは性的興奮を評価すると言いながら、実際にはむしろ欲求相の評価をしているものに近いと筆者には思われる18)。
 性反応の第一相である性的欲求を評価するいくつかの手段が試みられている。
 Hurbert Index of Sexual Desire (Q)2)は性的欲求低下障害女性患者を対象にHurbertにより1988年に開発された。「性的事柄の空想は困難」「私のセックスへの欲求は本来もっと強いはず」などの25項目からなり、それぞれ0から4点で評価し、合計0から100点となる。
 Spectorらにより1996年に開発された Sexual Desire Inventory(Q)37)は実存主義理論に基づき、性的欲求を、表面化される行動から切り離し、経験的構造物として捉え、14項目からなる質問で評価した。その研究によれば、性的欲求は二者関係への欲求と個人的な欲求から成り立つという。
   性的欲求を構成する要素である性的夢想を評価する手段として1977年に開発されたのがSexual Daydreaming Scale(Q)15)である。Sexual Daydreaming ScaleはGiambaraが Imaginal Process Inventory(IPI)(Q)35)の344項目から抽出した12項目より構成される。それぞれの項目をいくつか例示すると、「愛に関する夢想は生き生きとしており、現実に起きてるかのように感じる。」「異性に対して私の体は魅力的だと想像する。」「私の性的夢想は心の中でとても生き生きとはっきりある」「退屈になるといつでも異性のことを夢想する」などであり、0点(全く当てはまらない)から4点(非常に当てはまる)の5段階で得点され、総得点(最高48点)で評価される。Sexual Daydreaming Scaleを用いたPurifoy31)の研究によれば性的夢想は個人の性的関心と共にセクシュアリティに対する肯定的態度を反映する。
勃起障害の症状と治療結果を評価するための、より優れ、信頼性のある方法を開発せよとのNIH(米国公立衛生研究所)コンセンサス会議の強い勧告27)に従って、男性の勃起障害を臨床評価する国際的な手段として、Rosenらにより1997年に開発されたのが international index of Erectile Function(IIEF)(国際勃起機能スコア)(Q)(表1)28,32)である。IIEFは15項目の質問より成立し、それらの質問は、男性の性機能に関連する5領域(勃起機能:質問1,2,3,4,5,15、オルガズム機能:質問9,10、性欲:質問11,12、性交の満足感:質問6,7,8、全般的満足感:質問13,14)に分かれ、それぞれ得点が加算され評価される。5領域それぞれにおいて、再検査法による信頼性、外的基準との相関による妥当性、判別妥当性が示されている。5領域のうち特に、勃起機能領域は、Cappelleri8)らにより勃起障害の有無の鑑別および重症度の分類に有用であることが報告されている。質問項目の中で質問3の挿入の頻度、質問4の勃起の維持の得点は、sildenafil citrate (Viagra)の国内での第二相臨床試験および外国での第三相二重盲検臨床試験における薬効評価項目として用いられ、その臨床試験結果として得点の有意な改善を示している29)。このように、IIEFは臨床的に有用な評価尺度であり、国際的に泌尿器科医を中心に現在広く用いられ始めたものであるが、開発者の一人であるRosenは、IIEFの使用にあたっては、詳細な病歴聴取に追加できるものではあるが代用とはならないこと、評価は現在の状態を表面的に捉えているに過ぎないこと、勃起障害の評価目的で開発されたものであり射精障害や性的欲求障害などの他の性機能不全の評価には適さないこと、などを注意点としてあげている。なお、よりいっそうの簡便化を図るため、IIEFの質問15項目の中で5項目が(質問2,4,5,7,15)がさらに抽出され、IIEF5(Q)28)として患者への問診用として用いられている。

4)性的相互関係
 性機能不全は主としてカップル間で起こるものであり、現代のセックスセラピーはカッ プルを一単位としての治療を原則としている。それゆえ、カップル間の性的相互関係が臨床評価の対象とされることがある。
  Sexual Interaction Inventory (SII)(Q)(表2,3,4)23)は、1974年LoPiccoloらにより、男女間の性的相互関係を評価する目的で開発された臨床評価手段である。前出のBentler尺度より抽出された17項目の異性愛行動に対して、6段階に得点される6種類の質問が質問紙によりなされる。それぞれの質問の得点合計の差を見ることで、カップル間の性行動の諸側面が評価される。SIIに対してその後、McCoyら25)がその有用性に疑問を抱き、信頼性・妥当性を検討し、「心理学的には無意味である」と批判した。しかし、Conte9)はその批判の根拠となったMcCoyらの研究方法の問題点を指摘し、「SIIは時間がかかるという点を除いては、異性愛カップルの性的適応と性的満足に対する臨床評価手段としては有用である」と結論づけている。
  Golombok Rust Inventory of Sexual Satisfaction(GRISS)33)は1983年にRustと Golombokによりカップル間の性的関係およびそれぞれの性的機能を評価する目的で開発された。男女それぞれに対する28の質問項目があり、勃起障害、早漏、オルガズム障害、バギニスムス、コミュニケーション不足、性交機会のなさ、性的回避、性的欲求のなさ、不満足のそれぞれが評価される。
 Woodyは上述したSIIやGRISSにおける性機能不全概念は、1980年代後半に概念化された欲求相を含まない古いものであり、現在の性機能不全概念に沿ったカップルの性機能を評価する手段が必要だとして、1994年にSexual Interaction System Scale(SISS)40)を開発した。SISSは45の質問項目からなり、性的機能(欲求、興奮、オルガズムにさらに分かれる)、性的心構え、非性的相互作用、性的相互調整、性交後相互作用5領域別に評価され、さらに個人の総合得点およびカップルの総合得点が評価される。
 Self-evaluation of Sexual Behavior and Gratification(SSBG)21)は1981年にLiefがカップルの性的機能や、態度を評価するために開発した。計量的には評価されないが、カップルの性的適応を総合的に把握することが可能で臨床的有用性があると、Conte10)は述べている。
5)二者関係
 前節では、カップル間の性的相互関係の臨床評価手段について述べたが、性機能不全におけるカップルの相互作用に力点を置く臨床家、研究者においては、性的な問題に限定せず、より一般的なカップル間の相互関係も評価の対象とされることがある。
  Locke-Wallace Marital Adjustment Test22)はLockeとWallaceにより結婚への適応度を評価するために1959年に開発された、15項目よりなる質問紙である。40年近く用いられてきたものだが、1997年にFreeston13)が再検討した結果、今日でもなお、結婚の適応度、満足度、質を評価する役割を果たすという。
      Dyadic Adjustment Scale (DAS)(Q)36)は1976年Spanierによって、夫婦ないしは共同生活をするカップルの相互関係を評価する目的で開発された。カップルのそれぞれが分かれて、質問紙を完成させる。質問は32項目からなり、その合計得点で結婚ないしは共同生活の満足度を評価する。
 
6)一般的精神症状
 性機能不全症状以外の一般的な精神症状も、それぞれの臨床評価手段を用いて、評価されることがある。ただし、その使用目的は、抑うつ、不安、強迫症状といったその手段の本来の目的症状の評価に限定すべきである。性機能不全の診断を下すことや、その原因を探ることを目的としての、一般的な精神症状の臨床評価手段の使用は不適当であることが指摘されている10,39)。

3.行動評価
 性機能不全者の性行動時における性反応を直接に観察して評価する方法は知られていない。仮に、ビデオカメラ等を用いて技術的に可能だとしても、倫理的観点から実施は困難であろう。性に関する行動評価尺度としていくつか知られているものは、性別特異性の運動パターン(Barlow 19733))(RS)、男性の女性的行動特徴(Effeminacy Rating Scale, Schatzberg 197535))(RS)、男性の異性愛関係を開始するときの行動(Heterosexual Skill Behavior Checklist for Males, Barlow 19774))(RS)などを評価するものであり、いずれも性機能というよりも性同一性の問題に関わるものであるので、性同一性障害の稿に譲ることとし、本稿では詳細は割愛する。

最後に
 性機能不全に関する臨床評価手段の主立ったものの紹介を試みたところ、まとまりなく羅列的に記す結果となった。これも性の持つ多様な側面の反映ということでご容赦いただきたい。上述した多種の臨床評価手段の中から、何を評価しようとしているのかその目的にあったものを選択し、その限界を認識した上で使用することにより、本稿が有用な性機能不全研究の一助となることを期待したい。



文献
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11)Derogatis,L.R.:The DSFI:A multidimensional measure of sexual functioning. J.Sex.Marital.Ther..5:244-281,1979 12)Derogatis,L.R.:The Derogatis Interview for Sexual Functioning Index (DISF/DISF-SR):An Introductory Report. J.Sex.Marittal.Ther.,23:291-304,1997
13)Freeston,M.H.:Reconsideration of the Locke-Wallace Marital Adjustment Test: is it still relevant for the 1990s?.Psychol.Rep.,81:419-434,1997
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17)Harbison,J.J.M.:A questionnaire measure of sexual interest.Arch. Sex. Behav.,3:357-366,1974
18)針間克己:性的欲求の障害.臨床精神医学講座,松下正明ほか(編),special issue第4巻 摂食障害・性障害,中山書店,東京(印刷中)
19)Hoon,E.F.:An Inventory for the Measurement of Female Sexual Arousability:The SAI.Arch. Sex. Behav.,5:291-300,1976 20)Kaplan HS:The Evaluation of Sexual Disorders. Brunner/Mazel,New York,1983
21)Lief H.I.:Self-evaluation of Sexual Behavior and Gratification. In Leif HI(Eds):Sexual problems in medical practice, American Medical Association,p389-399,1981
22)Locke,H.J.and Wallce,K.M.:Short marital adjustment and prediction tests: Their reliability and validity.Marr.Fam.Living, 21:251-255,1959
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24)Masters WH,Johnson VE:Human Sexual Inadequency.Little Brown & Co,Boston,1970−謝国権(訳):人間の性不全.池田書店,東京(1970)
25)McCoy,N.N.,and D'Agostino,P.A.:Factor Analysis of the Sexual Interaction Inventory. Arch. Sex. Behav.,6:23-35,1977 26)McGahuey C.A.: The Arizona Sexual Experience Scale: validity and reliability, in New Research Program and
Abstracts. 150th Annual Meeting of the American Psychiatric Association.Washington,D.C.,APA.:196,1997
27)NIH Consensus Development Panel on Impotence:Impotence. JAMA 270:83-90,1993
28)日本性機能学会用語委員会:国際勃起機能スコア(IIEF)と国際勃起機能スコア5(IIEF5)の日本語訳.IMPOTENCE,13:35-38,1998 29)ファイザー製薬株式会社:新医薬品の「使用上の注意」の解説 バイアグラ錠25 mg・50 mg,ファイザー製薬株式会社,東京,1999 30)Podell,L.,and Parkins,J.C.:A Guttman scale for sexual experience-a methodological note. J.Abnorm.Sychol.54:420-422,1957.
31)Purifoy,F.E.:The Relationship of Sexual Daydreaming to Sexual Activity, Sexual Drive, and Sexual Attitude for Women Across the Life-Span.Arch. Sex. Behav.,21:369-385,1992
32)Rosen,R.C.et al:The international index of erectile function(IIEF):a multidimensional scale for assessment of erectile dysfunction.Urology,49:822-830,1997
33)Rust,J.and Golombok,S:The Golombok Rust Inventory of Sexual Satisfaction(GRISS). Brit.J.Clin.Psychol.24:63-64,1985
34)Schartzberg,A.F.:Effeminacy.I.A quantative rating scale. Arch. Sex. Behav.,4:31-41,1975
35)Singer,J.L.:Manual for the Imaginal Process Inventory.Educational Testing Service,Princeton,N.J.,1970
36)Spanier,G.B.:Measuring dyadic adjustment: New scales for assessing the quality of marriage and similar dyads.
Journal of Marriage and the family,38:15-28,1976
37)Spector, I.P.:The sexual desire inventory: development, factor structure, and evidence of
reliability.J.Sex.Marittal.Ther.,22:175-190,1996
38)Thorne,F.C.:The Sex Inventory.J.Clin.Psychol.,22:367-374,1966
39)Wincze,J.P.:Sexual Dysfunction.The Guilford Press, New York,1991
40)Woody.J.D.:The Sexual Interaction System Scale: A new inventory for assessing sexual dysfunction and sexual
distress. J.Sex.Marittal.Ther.,20:210-228,1994
41)Zuckerman,M.:Scales for sexual experience for males and females. J.Consul.Clin.Psychol.41:27-29,1973

Sexual Interaction Inventory23)(針間試訳)

表2 SIIの性的相互行動項目リスト

1. 男性が女性パートナーの裸体を見る
2. 女性が男性パートナーの裸体を見る
3. 男性が女性パートナーを一分間連続的にキスする
4. 男性が女性パートナーに胸や性器以外に身体接触をする
5. 女性が男性パートナーに胸や性器以外に身体接触をする
6. 男性が女性パートナーに手で胸を愛撫する
7. 男性が女性パートナーに口で胸を愛撫する
8. 男性が女性パートナーに手で性器を愛撫する
9. 男性が女性パートナーに手で性器をオルガズムに達するまで愛撫する
10.女性が男性パートナーに手で性器を愛撫する
11.女性が男性パートナーに手で性器を射精するまで愛撫する
12.男性が女性パートナーに口で性器を愛撫する
13.男性が女性パートナーに口で性器をオルガズムに達するまで愛撫する
14.女性が男性パートナーに口で性器を愛撫する
15.女性が男性パートナーに口で性器を射精するまで愛撫する
16.二者が性交する
17.二者が両者オルガズムに達するまで性交する

表3カップルへの質問項目

二者間で性行動がなされるときにリスト上の行動は通常ありますか。
どのくらいあって欲しいですか
a.現在の頻度
b.希望する頻度
 a.b.に対する6段階
 1.全くなし
 2.たまに (10%)
 3.時々  (25%)
 4.しばしば(50%)
 5.ほとんど(75%)
 6.いつも

リスト上の行動はあなたにとって現在、どのくらい快いですか。
パートナーはどのくらい快いとあなたは思いますか。
c.私の気持ち
d.私が考えるパートナーの気持ち 

リスト上の行動にあなたはどう反応したいですか。
あなたのパートナーにどう反応してほしいですか。
(いいかえると、あなたとパートナーにとって、リスト上の行動は理想的にはどうあるべきですか。)
e.私の希望
f.パートナーへの私の希望
 c.d.e.f.に対する6段階
 1.非常に不快
 2.かなり不快
 3.多少不快
 4.多少快い
 5.かなり快い
 6.非常に快い

表4 評価尺度の内容と算出方法

尺度1・2 :質問aとbの差         :男性・女性の性行動頻度への不満
尺度3・4 :質問cとeの差         :男性・女性の自己受容
尺度5・6 :質問cの平均値         :男性・女性の性的喜び
尺度7・8 :質問dとパートナーへの質問cの差:男性・女性の認識の正確さ
尺度9・10:質問dとfの差         :男性・女性のパートナー受容
尺度11  :尺度5・6を除く尺度の得点合計 :カップルの不調和合計

表3The Diadic
Adjustment Scale

1.家計管理
2.娯楽
3.信仰
4.愛情表現
5.友人
6.性的関係
7.しきたりの尊重
8.人生哲学
9.父母、義父母との関係
10.目標、重要と信ずる事柄
11.共有時間の長さ
12.重大なことの決定
13.家事
14.余暇活動
15.職業選択
1から15は以下の6段階評価
常に同意:5、ほぼ常に合意:4、時々合意:3、しばしば不合意:2、ほぼ常に不合意:1、常に不合意:0

16.離婚、別離、関係終了について話し合う頻度
17.あなたかパートナーがけんかの後、家を飛び出す頻度
18.二者関係がうまくいってると思う頻度
19.パートナーへの信頼
20.結婚ないしは同居への後悔
21.口論の頻度
22.お互いに「しゃくに触る」頻度
16から22は
23.24.25.26.27.28.29.30.31.32

kakatudou
2.各疾患に対する臨床評価手段
 既述したように、性機能不全に関する臨床評価手段は、性機能不全全般に共通して用いられるものが一般的であり、性機能不全の個々の疾患に対するものは多くはない。そこで各疾患に対する臨床評価手段の現在までの試みを記すと共に、今後どのような手段が要請されるかを記すことにする。
 各相
性的欲求低下障害
性嫌悪障害
 性嫌悪障害に対する臨床評価手段は知られていない。臨床評価手段の開発にあたっては、性的欲求に対する評価と共に、嫌悪に対しての評価も必要になると思われる。嫌悪に対しての評価は、嫌悪の対象(身体へのタッチ、外性器を見ること、外性器へのタッチ、キス、膣へのペニスの挿入、性的分泌、性的興奮、オルガズム、口唇性交、性的失敗、妊娠、性感染症、裸身など)や、度合いや性質(嫌悪を感じる限定された対象以外の性交は楽しむことが可能、ひとたび開始すれば楽しみながらの性交が可能、パートナーに対し怒りを感じながらの性交、不快感や不安のために性交を中断する、性的接触を避けるためにパートナーを持とうとしない、パートナーができるような機会を避けるなど)などが評価項目として考えられる。また、性嫌悪障害はパニック障害との関連性が指摘されており、パニック障害に関する臨床評価も同時になされるべきであろう。
   興奮
    男性
心因性と器質性の鑑別
    女性
   オルガズム
男性オルガズム障害・女性オルガズム障害
 両オルガズム障害に対する臨床評価手段は知られていない。臨床評価において必要となる項目は、いくつかの性的状況下(手指を用いたマスターベーション時、器具を用いたマスターベーション時、パートナーによる愛撫時、性交時など)におけるオルガズム障害の度合い(欠如、遅延の時間など)、頻度などであろう。

早漏
 早漏に対する臨床評価手段は知られていない。臨床評価において必要となる項目は、いくつかの性的状況下(マスターベーション時、パートナーによる愛撫時、性交時など)における早漏の度合い(刺激開始後射精までの時間、本人の望む時間との差など)、頻度などであろう。

   性交疼痛症 sexual pain
dyspareunia ・ vaginismus
 男性の性交疼痛症に関する報告は乏しく、その臨床評価手段も知られていない。女性の性交疼痛症および膣けいれんに対する臨床評価手段も知られていない。そもそも女性の性交疼痛症、膣けいれん、および女性の性嫌悪障害の三疾患は互いに鑑別診断が困難と言われている。すなわち「膣へのペニスの挿入ができない」と訴える女性が、「セックスが怖いから(性嫌悪障害)」か、「痛いから(性交疼痛症)」か、「膣がれん縮している(膣けいれん)」かを鑑別するのは容易ではない。産婦人科医による診察で、膣れん縮の産むが確認されたとしても、それが性交時の膣れん縮の有無を必ずしも示すものでもない。このように診断上問題を有する現状では、個々の疾患に対してではなく全般的な臨床評価手段を使用することが有用であろう。